「夫婦で会社を立ち上げるって、実際どうなの?」
「個人事業主と法人って、何が違うの?」
私たち夫婦は、二人で合同会社を設立し、それぞれの事業を一つの会社で行うという働き方をしています。
この形について、特に「なぜ法人化したのか?」「どうやって設立したのか?」といったご質問をいただくことがよくあります。
- 私たちが法人化を選んだ理由とその経緯
- 個人事業主と法人の違い(特に夫婦の場合のメリット)
- 法人設立のざっくりとした流れ
今回の記事では上記の内容について、私たちのリアルな経験を交えながらお話ししたいと思います。
私たちが法人化したタイミングと理由
私たち夫婦の場合は、妻の私が先に会社員から独立し、個人事業主として5年ほどWebライティングやWeb制作のお仕事をしていました。その間、夫は会社員でした。転機が訪れたのは、夫が会社員を辞め、現在の施設管理の仕事を始めるタイミングです。
この時、夫も個人事業主として独立し、オーナーさんと契約を結ぶ形になりました。つまり、夫婦二人がそれぞれ個人事業主になるという状況が生まれたのです。このタイミングで、「夫婦それぞれが個人事業主として活動する」のと「夫婦で法人を設立する」のと、どちらが良いのかを徹底的に比較検討しました。
そして、様々なメリット・デメリットを考慮した結果、私たちは法人化する道を選びました。
法人化の最大のメリット(私たちの場合):社会保険と経費の幅
私たちが法人化を選んだ最大の理由は、社会保険に加入できること、そして経費として認められる範囲が広がることでした。
社会保険について
個人事業主の場合、国民年金や国民健康保険にそれぞれが加入する必要があります。一方で、法人を設立した場合は、会社の役員や社員として社会保険(厚生年金・健康保険)に加入できます。
我が家の場合、私がメインで収入を得ている(大黒柱である)ため、私が社会保険に加入し、夫と子ども二人を扶養に入れるかたちを取っています。
これにより、保険料の負担を抑えつつ、家族全員が保障を受けられるという大きなメリットがありました。特に子どもが小さく、収入が不安定になりがちな時期には、このメリットは非常に大きかったです。
経費について
夫婦で事業を運営していると、ミーティングや出張など、事業に関連する支出はどうしても発生します。
法人の方が、個人事業主よりも経費として認められる範囲が広くなる傾向があります。「これは事業に必要な経費だ」と自信を持って計上できるものが増えるのです。
もちろん、プライベートな支出を経費にすることはできませんし、全ての支出が事業に関連していることを明確に説明できる必要があります。
「年商1000万円超えたら法人化」は絶対ではない?
よく「年商が1000万円を超えたら法人化を検討すべき」と言われますが、これはあくまで一つの目安です。実際には、年商が1000万円に満たなくても、法人化した方が手元に残るお金が多くなるケースもあります。
私たちの場合は、社会保険のメリットや経費の幅などを総合的に計算した結果、早い段階で法人化した方が有利だと判断しました。
最近では、独立と同時に個人事業主のステップを踏まずに、いきなり法人を設立する人も増えています。特に夫婦で事業を行う場合は、早い段階で法人化を検討する価値は十分にあると思います。
法人設立のざっくりとした流れ:そこまで難易度は高くない!
「法人設立って難しそう…」というイメージがあるかもしれませんが、結論から言うと、思ったほどハードルは高くありませんでした。
会社の種類を選ぶ
一言に法人化といっても、法人には様々な種類があります。基本的に営利目的の会社を設立する場合は、株式会社か合同会社のどちらかを検討することになるかと思います。
株式会社は出資者と経営者が分離されており、出資者が株主、経営者が取締役と呼ばれます。合同会社は出資者と経営者が同一となります。
設立費用は、株式会社が約20万円~、合同会社が約6万円~と差がありますが、設立の手間自体は、どちらもそれほど大きく変わりません。
会社の方向性として、自分が出資して会社の株主・所有者となり、経営を人に任せていくという事業形態を考えているのであれば、株式会社を設立する必要があります。反対に出資者が経営に携わるかたちの事業形態なら合同会社が合っています。
私たちの場合は自分たちが経営をしていくための会社として設立するつもりだったので、合同会社を設立しました。家族のための法人として、今の合同会社を経営しながら、将来的には事業の拡大や規模に合わせて、株式会社の新規設立も考えています。
会計ソフトの契約
自分たちで法人を設立する上で欠かせないのが会計ソフトです。
「マネーフォワード」や「freee」といった会計ソフトには、会社設立をサポートする機能があり、手順に沿って進めれば比較的簡単に書類作成などができます。一昔前に比べ、専門家に高額な費用を払わなくても、自分たちで設立できる環境が整っています。
売上や経費の入力や、決算書類を作るためにも会計ソフトの契約は必須です。法人契約は月額2,000〜5,000円ほどかかりますが、年間契約を条件に、法人設立のサポート機能がついてくるので、かなりコスパ良く法人化や会計処理までできるようになります。
ちなみに私たちは「マネーフォワード」のスモールビジネスプランを契約しています。法人登記の書類作成も全て「マネーフォワード」を使ってできましたよ♪
法人化の主な手順
- 定款(会社の基本ルールを定めたもの)の作成
将来行う可能性のある事業内容などを記載。AIなどを活用してチェックすることも可能。 - 必要書類の準備・作成
会計ソフトの指示に従って作成 - (株式会社の場合)公証役場での定款認証
- 法務局への登記申請
受理されると、会社が正式に設立されます。 - 各種届出
税務署や年金事務所などに必要な書類を提出
私たちの場合、書類作成から法務局への申請まで、1ヶ月ほどで完了しました。
もちろん、事前にしっかりと情報収集し、必要であれば専門家(行政書士や司法書士など)に相談することも大切です。特に定款の内容は、後から変更すると手間や費用がかかる場合があるので、注意が必要です。
(私たちの場合は、幸運にも知り合いに司法書士の方がいたので、カフェでささっと見てもらい、アドバイスをいただきました。)
夫婦で法人化する際の注意点:安易な判断は禁物!
法人化には多くのメリットがありますが、誰にでもおすすめできるわけではありません。
特に、夫婦のどちらかが会社員で、もう一方がこれから事業を始めるという場合など、状況によっては慎重な判断が必要です。
例えば「絶対にこの事業を成功させる!」という強い覚悟があるなら、個人事業主から始めるのではなく、最初から法人を設立することも可能です。
その際、夫婦二人でいきなり独立するのではなく、どちらかは会社員を続け、設立した会社の売上が立つまでは、独立した方の給与(役員報酬)をゼロにして、会社員のパートナーの扶養に入りながら事業をスタートさせるという方法もあります。
しかし、事業の見通しが不透明な場合や、夫婦間でお金の価値観が大きく異なる場合は、安易な法人化が思わぬトラブルを招く可能性もあるので、十分にご注意ください!
最後に:法人化はあくまで手段。大切なのは夫婦の価値観の共有。
私たち夫婦にとって、法人化は「家族でチームの働き方」を実現するための有効な手段の一つでした。
しかし、これが全てのご夫婦にとって最適な選択とは限りません。最も大切なのは、夫婦でお金に対する価値観をしっかりと共有し、将来のビジョンについて話し合うこと。
その上で、個人事業主として活動するのか、法人を設立するのか、あるいは会社員としての働き方を続けるのか、それぞれの家族にとってベストな形を見つけていくことが重要です。
もし、私たちのような働き方や法人化についてご興味のある方がいらっしゃれば、お気軽にご相談ください。私たちの経験が、少しでもお役に立てれば幸いです。