「夫婦は一番近くの他人」とよく言われるもので、私たち夫婦も性格は全く異なります。
夫婦や家族で会社経営をしていると聞くと、「夫婦で飲食店を経営」「夫が社長で妻が経理」といったように、夫婦で一つの事業を協力して行うケースのイメージが強いかもしれませんが、私たちの場合は少し違います。
私たちは、二人で合同会社を立ち上げ、自分の会社の役員として働いていますが、二人で協力して1つの事業を行っているわけではありません。
1つの会社の中に、夫の事業と妻の事業、2つの独立した事業が存在する。このかたちで会社を経営しています。
では、なぜ私たちは、このような形を選んだのか?今回は、私たちが夫婦で同じ事業をしない理由と、その背景にある私たちの考え方についてお話しします。
一緒にやろうとしてもうまくいかなかった過去
会社を立ち上げて5年。最初は、夫婦で一つの事業を一緒にやってみようと試みたこともありました。共同経営のような形も考え、実際に動いてみたことも。しかし、ことごとくうまくいかなかったのです。
喧嘩が絶えず、「何がいけないんだろう?」「どうすればうまくいくんだろう?」と悩む日々。
どちらが良い悪いという問題ではなく、根本的に私たちの強みを発揮できる場所や、心地よいと感じるポジションが異なっていたのです。
そして、私たち夫婦は二人とも「経営者寄り」の性質が強いということも、様々な分析(性格診断や占いなど)や夫婦コーチングを通して見えてきました。
夫婦関係の危機と第三者の助言
特に第2子が生まれた後、夫婦のコミュニケーション時間は激減。育児に追われ、お互いに余裕がなくなり、夫婦関係はこのままではまずいという状況にまで陥りました。
「二人だけでは解決できない」と感じた私たちは、夫婦カウンセリングやコーチングといった第三者の力を借りることに。
そこで複数の専門家から共通して言われたのが、「あなたたち夫婦が、今の状況で一つの事業を一緒にやろうとすると、関係が悪化するだけ。無理に合わせる必要はなく、それぞれの事業として距離感を保つのがベスト」というアドバイスでした。
この言葉を聞いた時、私たちも「やっぱりそうだよね」と腑に落ちました。
もともと夫の方が「夫婦で一緒に何かビジネスをやりたい」と言ってくれていましたが、私は直感的に「こじれたら嫌だな」と感じていました。
どんなに仲が良くても、ビジネスを一緒にやるとなればトラブルはつきもの。それによって、夫婦としての良い関係まで崩れてしまうのは避けたかったのです。
「あえて一緒にやらない」ことで守られるもの、活かせるもの
この経験から、私たちは「あえて一緒に事業をやらない」という選択をしました。
これはネガティブな決断ではなく、むしろ非常にポジティブなものだと捉えています。
夫婦関係を最優先に
仕事を一緒にすることで夫婦関係がギクシャクするくらいなら、それぞれ別の事業に集中した方が良い。
私たちにとって、人間として、友人として、そして夫婦としてお互いを尊重し合える関係性が何よりも大切です。
それぞれの才能を最大限に活かす
無理に同じ事業をすることで、お互いの強みや才能が薄れてしまうのは本末転倒。
それぞれが得意な分野で輝ける方が、結果的に家族全体にとってもプラスになると考えています。
適切な距離感での協力
一緒に事業はしませんが、お互いの事業に対してアドバイスをしたり、相談に乗ったりすることは積極的に行っています。
それぞれの事業の責任者として独立しているからこそ、客観的で建設的な意見交換ができると感じています。
私(妻)の事業は、個人事業主時代から行っていたものや、外部のチームと連携して進めているものが中心です。
ここに夫を無理に巻き込むのではなく、むしろ私が「夫婦や家族単位で関われるような仕事」を新たに作り出すことで、自然な形で夫と協力できる機会を増やしていきたいと考えています。
将来の展望:それぞれの会社、海外法人も視野に
ある専門家からは、「あなたたち夫婦は、それぞれが自力でビジネスを築き上げていく力を持っている。最終的には、それぞれが会社を立ち上げ、その会社同士で契約するような形が最も美しいのではないか」というアドバイスもいただきました。これも非常にしっくりきました。
現在は一つの会社の中に二つの事業という形ですが
将来的には…
- 夫の事業が大きく成長すれば、新たな会社を設立する
- 海外に法人を持つことも視野に入れる
など、可能性は無限大だと感じています。
大切なのは、夫婦それぞれが経営者としての素質を活かし、お互いを尊重しながら、家族全体として成長していくことです。
まとめ:夫婦で法人化しても「一緒にやらなくてもいい」
夫婦で会社を立ち上げたからといって、必ずしも同じ事業を一緒にやる必要はありません。
私たちのように、一つの会社の中でそれぞれが別の事業を担当するという働き方も十分に可能です。
大切なのは、夫婦それぞれの性格や得意なこと、そして何よりも「何を一番大切にしたいのか」をしっかりと話し合い、お互いが納得できる形を見つけること。
私たちの経験が、夫婦での働き方や事業のあり方に悩んでいる方々の、1つの参考例になれば幸いです。