私たち夫婦は現在、二人で立ち上げた合同会社の役員として、それぞれ別の事業を担当しながら、1歳と3歳の子どもたちを育てています。
この働き方のおかげで、働く時間や場所、そして家族を優先する度合いなどを自分たちでコントロールできるようになり、今のところとても良い形で進んでいると感じています。
そんな私たちですが、最初からこの形を目指していたわけではありません。
結婚してもうすぐ10周年。10年前は、まさか自分たちが会社を作り、こんな働き方をしているとは夢にも思っていませんでした。
今回は、私たちが「家族でチームの働き方」を始めるに至った、この10年間のリアルな道のりを振り返ってみたいと思います。
(これはあくまで私たちの一例であり、皆さんに同じ道を勧めるものではありません。)
10年前の私たち:沖縄移住とフリーランスへの挑戦
今から10年前、私は沖縄に移住したばかりで、夫と同棲を始めた頃でした。
当時、私は「時間や場所に縛られない働き方をしたい」という想いから、パソコン1つで働けるWebライターの仕事を選びました。
Webライティングの経験はありませんでしたが、当時私がプライベートで書いていたブログを読んでくれて、文章を気に入ってくれた知人の経営者からお声がかかり、個人事業主(フリーランス)としてWebライティングの業務委託を請け負う形で独立。
しかし、未経験からのスタートだったため、最初の収入は生活費にも満たない状況でした。
夫の理解と支え:「ゼロでもいいよ」の一言が大きな力に
「この仕事に挑戦したい。でも、すぐには収入が見込めない」
そう夫に相談したところ、彼は「全然いいよ。ゼロでもいいし、専業主婦でもいいよ」と言ってくれました。
まだ結婚前でしたが、彼のその言葉は本当に心強く、安心して新しい挑戦に踏み出すことができました。
実は大学時代からお付き合いをしている私たち。学生時代から、やりたいことに一生懸命取り組む私の姿を見るのが好きだったという夫の応援の気持ちが、当時の私を支えてくれました。
妻、収入爆発!そして夫の働き方を見直すきっかけに
数ヶ月後、私が手がけていたWebライティングの仕事が大当たり。アフィリエイトを取り入れていたので、紹介報酬で月数百万の売上が上がるようになりました。
当時の夫は会社員で、長時間労働が当たり前。そんな中、私が短時間で夫の数倍を稼ぐようになり、夫婦の収入バランスは大きく逆転しました。
そうなると、夫の働き方に対する私の不満が募ってきました。
「せっかく沖縄で一緒に暮らし始めたのに、これじゃ遠距離恋愛の時と変わらない…」
経済的に自立できたことで、私は夫に「給料は気にしなくていいから、もっと時間の短い仕事に転職してほしい」と伝え、夫もそれに応じてくれました。
この時、夫婦がお互いに「攻め(稼ぐ側)」と「守り(支える側)」の両方を経験したことは、今の「家族でチーム」という考え方に繋がる、非常に重要なターニングポイントだったと感じています。
月収7桁からゼロへ:絶頂期に手放した理由
Webライターとして携わっていたアフィリエイト事業で大きな収入を得られるようになったものの、私の中には常に違和感がありました。
Web業界の変化は激しく、この収入が永遠に続く保証はない。そして何より、当時の私は記事を書くことはできても、ビジネスの全体像を理解せず、言われたことをこなすだけ。(契約先の企業の代表がマーケティングをしてくれていました。)
これでは会社員時代と変わらないと常に危機感を持っていました。
「時間と場所の自由は手に入れたけれど、仕事内容をコントロールできていない。これは私の理想ではない」
そう考えた私は、月数百万の収入があったアフィリエイト事業のライティング業務を、絶頂期にもかかわらずきっぱりと辞める決断をしました。そんな私を見て、夫は心から驚き、潔さに感銘を受けたそうです。
「5年先の裕福より、10年後の幸福を選びたい」という、今の私のスタンスが生まれた瞬間です。
再び「攻守交代」:夫婦で起業への挑戦と、まさかの妊娠
収入ゼロに戻った私を、今度は夫が支えてくれる番です。
「長くて1年、できれば数ヶ月で何とかするから!」と伝え、私はWebコンテンツ制作(ホームページ制作、ブログ構築など)の分野で、本格的に0から1を生み出す「起業」に挑戦し始めました。
実はこの時期、子どもを作るかどうかも悩んでいました。30歳を目前にし、もし子どもを授かれば、一度家庭に入って子育てに専念し、夫に働いてもらうという選択肢も考えていました。
しかし、その時は子どもを授かることができませんでした。
この「できなかった」経験が、私を起業へと強く後押ししました。「今は子どもよりも、0から1を生み出すことに命を懸けよう!」と。
そして、起業して半年ほどで徐々に成果が出始め、再び私が大黒柱として家計を支えられるようになった矢先…妊娠が発覚しました。
まるで、全ての出来事が繋がったかのような、奇跡的なタイミングでした。
法人設立、そして理想の働き方へ
妊娠がわかる少し前、夫に「もう十分稼げるようになったから、会社を辞めてほしい」と伝えました。
ちょうどその頃、知人からシェアオフィスの施設管理の仕事を紹介され、夫がそれを引き受けることに。
そして、私の個人事業も安定してきたこと、そして夫婦で法人化するメリット(保険など)についての情報を得たこともあり、合同会社を設立。
私がそれまでの事業を法人に移し、夫が施設管理の事業を担当するという形で、今の働き方の原型が出来上がりました。
法人を設立してわずか1ヶ月後の妊娠発覚。もし夫が会社員のままだったら、妊娠中の体調不良時の対応や、育児の分担などは、難しかったかもしれません。妊娠・出産前にこの形を整えられたことは、今の育児にも大きく活きていると感じています。
10年間の経験が「家族でチーム」の土台に
この10年間の私たち夫婦は…
- お互いが「大黒柱」を経験したこと
- 私が突拍子もない提案をしても、夫が受け入れ、支えてくれたこと
(ただし、怪しいビジネスには夫がストップをかけてくれます。彼の嗅覚は鋭い!) - その時々の直感を信じ、変化を恐れずに進んできたこと
これらの経験があったからこそ、今の「家族でチームの働き方」という、私たちにとって理想に近い形に辿り着けたのだと思います。
周りから見れば不安定な道を選んできたように見えるかもしれませんが、私たち自身は、これまでの選択に後悔は一切ありません。
これから「家族でチーム」を目指す方へ:最初の一歩は「片方が支える」形から
私たちの経験から、もしこれから「家族でチームの働き方」を目指したいと考えるなら、最初の一歩として「夫婦のどちらかが安定した収入(会社員など)を確保し、もう片方が新しい挑戦をする」という形は、比較的始めやすいのではないかと感じています。
いきなり大きなリスクを取るのではなく、片方が支える基盤がある中で、もう片方が攻めていく。そして、軌道に乗ったら役割を交代したり、二人で新しい形を模索したりする。
この「片方が支える」という経験は、夫婦の絆を深め、家族でチームになるための大きなきっかけになるはずです。
最後に
私たちの10年間は、決して計画通りに進んできたわけではありません。その時々の直感や、夫婦での話し合い、そして周りの方々からの助言によって、少しずつ今の形に近づいてきました。
この経験が、これから新しい働き方や家族の形を模索する方々にとって、何かしらのヒントになれば幸いです。
私たちもまだまだ道半ば。これからも「家族でチームの働き方」を追求し、発信していきたいと思います。